zakkabakkaのブログ

革のこと、関係ないことまで色々とお店の日々を書いてます。

当たり前のことって、大事だけど忘れがち。

最近、珍しく頂いた大量生産の仕事を終えました。

普段のザッカバッカの仕事は、ひとつずつ切り出して、染めて、縫って、写真を撮る…そんな素朴なものです。

しかしこの度、同じ色と形の商品を大量に作るという作業をすることになったのです。

 

何かと言いますと、まず発明家の友人がおりまして。

「発明家…?」って胡散臭く思ったあなたは後悔することになるでしょう(笑)

すごく儲けてるんです。実力派なんです。

その人が考案した形のお財布でクラウドファンディングをすることになり、商品が大量に必要になる…というわけでした。

 

ちなみにそのプロジェクトがこちら

もう終了していますが、9877%の成功率ってどういうこと…?

普通に生活していて「成功率は9877%です」ってこと、あります?

 

とにかくすごい売れてますよね。羨ましいです。

これはマクアケという日本の会社ですが、なんでもこれが台湾の会社の目に留まり、台湾でもクラウドファンディングすることになりました。

そこに、私が染めたラインナップも出品することになったというわけです。

 

 

 

 

 

普段の仕事と比べて、楽だと思ってました。

「1日目は切り出して染めよう。2日目はここまでやって…うん、いいぞ。」

と軽快にスケジュールをメモ帳に書き出していきます。

 

しかし、全然計画通りに進まない。

同じ作業が続くとゴールが見えなくなっていくんですね。

長距離走でも、景色が変わる街中を走るのと、校庭を何週も走らされるのとでは後者の方がうんと長く感じたものです。

するとスピードが落ちていくのですが、この仕事には納期がある。

やらないと……という風に、どんどん追い込まれていきます。

よくドラマで見る漫画家さんとかってこんな感じなんだろうか、これで担当が後ろで待機してたらプレッシャーの極みだな、と思いました。

本当に大変でした(笑)

 

ただ大変ではあっても、嫌だと思ったことは一度もありません。

種類は違えど、基本的に好きなことをしていることに変わりはないのです。

あと作りながら思ったのですが、「疲れた、嫌だ」という気持ちで作ったら、お財布に伝わってしまうような気もします。

だからアニメを観ながら縫ったり、おやつを食べたり、息抜きをしながらやっていました。

 

それに誰かが言っていました、「忙しいのっていいことだよね。自分にしか出来ないから頼まれてるんだもん」と。

そうです、ありがたいことなんだとつくづく思いました。

 

 

 

 

 

そうして気合と根性で乗り越えた大量生産。

終えてみて良いことがありました。

 

それは普段の仕事の楽しさに、改めて気づけたこと。

「今回はどんな配色にしようかな」と悩んだり、それによって一つずつ出来上がりが違ったり、合間に違う作業が挟まってきたりすることが、こんなに楽しいなんて。

少し忘れていたかもしれません。

 

余った革に、ロゴを押しているところ。

 

これだけでも、自分が一回り大きな人間になれたような気がします。(単純)

何か怖いものを一つ乗り越えたような、やり方を習得したような。

次にまた同じ仕事が来ても余裕を持って挑める、そんな気がします。

 

きっとしばらくは無いんだろうな。だからザッカバッカのお財布たちを作ることに専念したいと思います。

気づいたら在庫が少ない。

せっかく見に来てくれたお客さんに、「この中から選ぶの?」と思わせてしまったら申し訳ない気持ちです。

だから頑張って揃えていきます!

 

どれから作ろう、何色から作ろう。

今日は晴れているから水色を入れようかな、秋だからオレンジもいい。

そんな風にワクワクしながらお財布を作って、それが手に取ってくださった方にも伝わればいいなと思います。

 

毎日のルーティンの中で忘れがちだったこの気持ちを、改めて思い出すことが出来ました。

気合と根性で乗り切る仕事も、たまには悪くない。

普段とは違った仕事を引き受けてみるのも、たまには良いものでした。

 

 

From:Zakka Bakka